理学療法の対象となる人とは?

病院での理学療法では、病気、けが、事故などにより障害を有する者が対象となる。年齢層の幅は広く、病院受診が可能な方ならば、入・通院すべてその対象となる。いわゆる患者さんがそれにあたる。理学療法は身体的機能回復を図ることを目的に行われ、発症後、最初にリハビリを提供する場所が病院であるため、ここでの理学療法は急性期から介入することが特徴となる。ただし、対象者の身体状況によるが、自宅復帰が困難な患者では、理学療法だけはなく、リハビリという広い概念でとらえる場面もある。また治療が困難ケースでは、理学療法の目的が機能回復ではなく、機能の温存や維持になる場合もある。

小児のように発達の途中段階にある場合では、理学療法は特に難しい。成長段階の途中にあるため、機能の回復(一度は獲得した能力)というより、機能の初獲得(まだ一度も獲得していない)の状況にあり、再現性がない状態となり難しい場合が多い。

介護保険施設での理学療法では、介護を必要とするする要介護者、他には生活する上で支援を要する要支援者が対象となる。介護・支援を要する状態は病気、けがなどに止まらず加齢よっても起こり得る。自立した生活をおくることを目標に、理学療法が提供される。介護保険証を有する者が対象なので、高齢者が中心となることが特徴である。理学療法を行う際は、疾患・病気の理解のほか、加齢による身体変化についても理解しておく必要がある。また介護施設の場合では、ゴールが自宅復帰でないことが多いので、理学療法を行う理由が個人によって違ってくるのも特徴の一つである。

その他、地域や行政が行っている運動プログラムなどでも理学療法が提供される。参加者すべてが対象となるが、ほとんどが健康増進であったり、介護予防としての目的であるため、身体機能は比較的良好な状態の場合が多い。機能回復を図るにあたっては、運動療法を中心とし、積極的な理学療法を行いやすい環境である。