資格取得後の最初の職場とは?

一般的なのは病院勤務が多い。設備環境が整っているうえ、いわゆるリハビリ(医療的リハ)が主体なので、理学療法士の職場としては、明確でわかりやすい場所であるからである。ただし、近年では介護保険施設での理学療法士の需要も増え、以前に比べ待遇面においても安定してきているので、初年度から介護老人保健施設(老健)などからスタートする理学療法士もでてきている。他には訪問リハビリという選択肢もあるが、初年度からの入職は少ない職場といえる。一つの要因としては、実際に患者(もしくは利用者)宅に訪れてリハビリを行うため、リハビリの内容もだが、本人およびご家族に対する社交性や接遇などの観点からも高い品質を要求されるため、社会人としてのマナーがないと仕事にならないため、多くの場合、数年病院で働いたのちに、訪問リハの世界にくるケースが多い。

病院での勤務の場合、クリニック(もしくは医院)か、総合病院かによって、対象疾患の学び方に差が出ることがある。リハビリのイメージと結びつきやすい整形外科のクリニックでは、当然整形外科疾患が中心となり、脳血管障害などを学ぶ場面は少なくなりがちである。一方総合病院で200床以上の病院ともなれば、入院設備が良好であるため、種々の疾患と関わることができるようになる。OPE室がある病院も同様に、急性期からのリハビリに携われるため、いろんな学びについて一度は経験しておきたいと思うのであれば、OPE室があり200床クラスの病院がおすすめである。

どの職場で働くかは、今後のご自分の理学療法士としての成長には大きな要因ではあるが、どこで学ぶにしても、学ぶ姿勢やそれをどう活用していくのかが不明瞭では、「知っている」「見たことはある」だけで、「理解している」「再現性が高く繰り返し行える」にはならない。また、勉強できる環境や教育制度があっても、いくら理学療法士が専門職とはいえ技術面だけをさして、学びや勉強だと勘違いしているようでは、大きな成長は難しいだろう。多職種との連携すらとれない人が、患者から信頼を築けるはずもありません。臨床現場では「先生」と呼ばれることが多い理学療法士ですが、その言葉の意味も分からずに浮かれているようでは、教育制度が優秀でも本当の成長には出会えないだろう。「どうなりたい」「どうしたい」を今一度クリアにすることが、まずは希望する職場をみつける第一歩となるだろう。